アトピー性皮膚炎治療マニュアル

 アトピー性皮膚炎のQ&A

 薬がある間は診察を受けなくていいですか?

アトピー性皮膚炎は、症状に対応して薬の処方やスキンケアの計画を修正していきます。症状がすっかり安定し、悪者さんが自分でコントロールできるようになった、と医師が判断した場合には、受診の間隔を延ばすことがあるそうです。それにしても、アトピー性皮膚炎は、いつ悪くなるかわかりません。その意味で、定期的に診察を続けることが大切です。医帥は、次回の診察日までの期間を計算して薬を処方しますから、いつまでも薬が減らないということは、正しい使い方をしていない可能性があります。この場合、一時的に湿疹がよくなっても、何かのきっかけで、すぐ、ぶり返す可能性がないとはいえません。アトピー性皮膚炎は、症状のあらわれ方や経過のたどり方がひとりひとり異なります。長い間定期的に診察すると、医師は少しの変化でもとらえやすく、悪化しそうなときも未然に対策を講じることが可能です。忙しくて通いにくいときは、診察を休むのではなく、どうしたらよいか、ぜひ医師に相談してください。

 髪の毛が抜けたり、フケが増えてきました

アトピー性皮膚炎の症状のひとつとして、脱毛症になる人がいます。アトピー性皮膚炎の人の毛根にはG抗体が多い例があり、アレルギー反応を起こした結果、脱毛することがあるようです。この場合はUVA光線を当てると有効なことがあります。かゆみ止めの入った抗アレルギー薬を服用して、かゆみを止めながら、アレルギー反応を抑えていくこともあります。頭皮をゴシゴシまさつすると、非アレルギー的要因で湿疹が起こり、表皮がはがれてフケのように見えることもあります。湿疹がかゆくて、毛髪をかきむしって抜いてしまう人もいます。頭皮の湿疹に対してはローションタイプのステロイド薬を使用します。髪の毛を一センチ間隔くらいに分けながら、容器の先を直接地肌に当てて塗っていき、あとから指でなじませます。頭皮の湿疹は、シャンプーやリンス分が刺激となって起こることもあります。すすぎを念入りにすることも大切です。皮膚をいためないように、爪は短くし、指の腹を使って洗います。

 紅皮症とはどんな病気?

紅皮症はその名のとおり、皮膚が真っ赤に隠れて全身にひろがる病気です。とてもかゆくて皮膚がポロポロとむけ、重症になると、寒け、高熱が出て、全身がほてります。アトピー性皮膚炎に特有の病気ではありませんが、紅皮症の四割くらいは、何らかの混疹に引き続いて起こるといわれています。かぜなどの感梁症がきっかけとなったり、薬のアレルギーで起こることもあります。アトピー性皮膚炎では、長期間強いステロイド薬を使っていて突然中止すると、リンパ腺が腫れて赤くなることがあります。強い外用藁を使ったり、紫外線に当たりすぎて発症することもあります。治療は原則として入院が必要です。全身にほてり感があるときは、冷湿布をして一刻も早く病院に行きます。病院ではステロイド薬を塗って炎症を抑え、抗アレルギー薬を服用します。顔には、タクロリムス外用薬を使うこともあります。点滴で水分などを補います。

 温泉に行ってはいけませんか?

そんなことはありません。おおいに楽しんでリラックスしてきてください。ただし、熱い湯は皮膚の血管が拡張してかゆくなることがあります。ぬるめの湯につかるようにしましょう。露天風呂は解放感があり、自然の風にふれるので、屋内のお風呂よりのぼせにくくてよいかもしれません。温泉は湯上り後に温まってくるので、入浴時間は短めにするのがよいでしょう。硫黄の温泉は刺激が強すぎるといわれますが、これも人によって合う合わないがあるようです。硫黄の殺菌作用が効いたという人もいます。アトピー性皮膚炎では転地療法といって、環境を変えるだけで、症状がよくなることも少なくありません。温泉旅行のいちばんの効きめは、気分転換ができることかもしれません。楽しいことに気持ちが向くと、かゆみも気にならなくなることがあります。何ごとも前向きに考え、トライして結果が思わしくなかったら、次からやめるといった考え方でよいのではないでしょうか。

 暖房の効いたデパートや電車などでかゆくなって困っています

からだが温まると、ほてってかゆくなるのはアトピー性皮膚炎の特徴です。満員電車では身動きもできないのでほんとうに困りますね。ある程度かゆくなるのはしかたがないと割り切って、できるだけ気にしないようにしましょう。とはいっても、顔がほてったりかゆくなるのは、とても不快です。冬は着脱の簡単なマフラーなどで寒さをよけ、乗り物に乗るときにはずすと、温度差がいくらかやわらぐかもしれません。汗ばむとかゆくなりますから、ハンカチなども出しやすいところにしまってこまめに拭くと、皮膚への刺激が少なくできます。会社や家に着いたら、まず、顔を洗って保湿クリームを塗っておくとよいでしょう。オフィスやデパート、映画館、病院など暖房がきいているところに行く場合は、脱ぎ着のしやすい服装で出かけましょう。建物に入る前にひと息つき、上着を脱いでから入る、あるいは暖房の吹き出し口を避け、涼しそうな場所でひと息つけると、かなり楽になります。

ページの上へ